毎年ダービーは胸躍る。それでも今年は特別だ。


東京10R 東京優駿日本ダービー


「今年は史上最強メンバーじゃないか」
若年層だけでなく、キャリア豊富な競馬ファンからもこのような声が聞こえる。
メンバーのレベルだけでなく、有力馬の背景も盛り上げを後押ししている。
・3強に跨るジョッキーが岩田vsノリvsアンカツ
・調教師が角居vs藤沢vsマツクニ。
しかもそれぞれこだわりのローテを持ち、それを辿ってきているから面白い。
王道中の王道vs青葉賞ルートvsNHKマイルカップルート。
トゥザヴィクトリーの仔にエアグルーヴの仔にローズバドの仔が出走。
・1,2番人気馬の父が03年ダービーでワンツーしたネオユニヴァースゼンノロブロイ


パッと思いつくだけでこれだけある。盛り上がるなというほうが無理な話だ。
ただ残念なのが、サンライズプリンスの離脱と、ずっとローズキングダムの手綱を執ってきた小牧Jの騎乗停止、
そしてなにより、この空前の盛り上がりを見せるダービーに武豊の名前がないこと。
最近成績が下降気味とはいえ、この華のある舞台に最も華のあるジョッキーがいないのは寂しい限りだ。


しかしそれを補って余りある、実に楽しみな第77回日本ダービー。世代7,716頭の頂点は―。
今年も1頭ずつ触れていきます。


1枠1番 エイシンフラッシュ(内田博)
鼻肺炎のためぶっつけでの挑戦となった皐月賞で3着健闘。その地力を見せつけた。
競馬が上手な馬でこの最内枠も願ったりか。人気もそこそこ。ウチパクJの一発があるかもしれない。


1枠2番 レーヴドリアン(藤岡佑)
京都新聞杯3着で大舞台への道が断たれたかに思えたが、賞金上位馬の回避が相次ぎゲートインが叶った。
武器はなんといってもその鋭い末脚。道中インで脚を溜め、直線大外一気が作戦か。
しかし、何度同じミスをしても全く工夫しないこの按上では…。川田Jに乗り替わっていれば期待も持てたが…。
とはいえ今さらジタバタしても仕方ない。腹を括っての直線勝負で何頭交わせるか。


2枠3番 ルーラーシップ
類まれな素質を有するエアグルーヴの仔が何とかこの大舞台に間に合った。
その切符を勝ち取った前走プリンシパルSの内容は目を見張るものがある。やはり一級品のエンジンを搭載している。
その時の按上ノリは他馬に騎乗するが、四位Jが空いていたのは運がある。
四位Jとこの馬、確実に手が合うと思う。按上が頭に思い描いているイメージはウオッカでの競馬か。
一発あると思う。


2枠4番 サンディエゴシチー浜中俊
北の覇者だがすっかり影が薄くなってしまった。
叩き3走目、距離延長、左回りに活路を見出すが厳しいか。
浜中Jは初ダービーかな??その雰囲気を大いに楽しんでほしい。


3枠5番 コスモファントム(松岡)
安定感抜群の先行馬。前走も休み明けで2着にまとめた。
昨年暮れのラジオNIKKEI杯でも皐月賞馬とタイム差なしの2着と健闘。
そこでは皐月賞2着馬やNHKマイルカップ馬にも先着という実績を持つ。
叩いての上積みも見込め、按上は松岡J。怖い1頭だ。


3枠6番 アリゼオ(ウィリアムズ)
皐月賞は5着に敗れたが負けて強し、かなり見どころのある内容だった。強い競馬をしている。
大外枠だった前走と異なり、今回は絶好枠を引き当て、周りを見るにスムーズな先行が叶いそう。
そうなればこの馬、かなり面白い。オーストラリアの名手は逃げることも頭に入れているかもしれない。
2強に割って入る可能性が一番高いのはこの馬だと思う。
不安はジョッキーが東京競馬場での騎乗が今までにない点。いくら名手といえどもさすがに大きなハンデだろう。


4枠7番 ヴィクトワールピサ(岩田)
皐月賞馬である。
唯一負けた新馬戦も、内をピタリ回ったローズキングダムに対し、大外を回した分負けただけ。内容的には勝っていた。
強いのはわかっている。体調も文句なし。となるとあとは岩田ジョッキーの問題だ。
去年は断然人気のプレッシャーに押し潰されると見て印を落としたが、今年はもう大丈夫だと思っている。
去年の経験が大きいのももちろんだが、前走皐月賞でプレッシャーに打ち勝った時点でこれまでの岩田Jではないと見て取れた。
皐月賞を勝ったことで彼は完全に一皮むけた。もうプレッシャーに負けるようなことはないはず。
ただ、「乗れなかった豊さんのために」などとは思わない方がいい。変に気負うとロクなことがない。
「ダービーを勝つためにJRAに来た―」
今年はその夢を掴み取る大チャンス。もう岩田Jに順番が回ってきてもいいだろう。


4枠8番 ローズキングダム(後藤)
無敗で2歳王者になった時のことを思えば随分影が薄くなってしまった。
しかもダービー直前に主戦の小牧Jが騎乗停止になったかと思えば、週半ばでザ石というありさま。
能力はあるのだが完全に歯車が狂っている。変わりのジョッキーも後藤では一縷の望みすら絶たれた感がある。
減り続ける馬体重も気になるし、成長もあまり見られない。
大好きなローズバドの仔だしペーパーオーナーなのでもちろん応援はするが、厳しい戦いになりそうだ。


5枠9番 ペルーサ横山典
青葉賞を圧勝して勇躍乗り込んできた4戦無敗馬。
抜け出す時の瞬発力、スピード、持久力。どれをとっても一級品で、大物の気配漂う。
青葉賞勝ち馬からダービー馬は未だ出てきていないが、先週フローラS勝ち馬をオークス馬に導いたノリならジンクスも関係ないでしょう。
今年は完全にノリの年。史上3人目のダービー連覇、そして武豊ですら成し得ていない3週連続GI制覇を目指す。
枠順も奇数とはいえ、すぐ内のピサを見ながらいける絶好枠。Vのイメージは出来あがっているか。
初の青葉賞からの、そして無敗のダービー馬誕生なるか。


5枠10番 トーセンアレス(江田照)
ダートで賞金を稼ぎ大舞台への出走叶った。
しかし芝では結果が出ておらず、血統からもやはりダート向き。
江田照Jといえばダンシングカラーだが、さすがにその再現も難しいか。


6枠11番 ハンソデバンド(蛯名)
共同通信杯では道中掛かり気味ながらダノンシャンティアリゼオを破っている隠れた実力馬。
しかし皐月賞まさかのシンガリ負けで一気に評価も急落。
穴の魅力はあるが2,400mもやや不安で、絶好調蛯名Jの手綱でも巻き返しはどうか。


6枠12番 ヒルノダムール(藤田)
デビューから常に強い相手と戦ってきた皐月賞2着馬。
その皐月賞も少しスムーズさを欠き、直線大外を回って勝ち馬とコンマ2秒差。
その切れ味は特筆モノで、この最高峰の舞台での一気の逆転のチャンスはある。
そしてなにやら漂うダンツフレーム臭…。切ることはできない。


7枠13番 ゲシュタルト(池添)
皐月賞でも先行して踏ん張るという見どころのある競馬。
京都新聞杯できっちり結果を残し、再びの東上となった。
人気はないが堅実に走るところがあるので、スムーズに流れに乗ってうまく捌けばいいところあるかも。


7枠14番 リルダヴァル(福永)
骨折明けの復帰からこれで4走目。復帰が毎日杯だったことを考えるとやはり使いすぎの感は否めない。
前走にメイチの勝負をかけていただけに、お釣りがあるかどうか。
調教を見る限り問題はなさそうだが、目に見えない疲れ…特にGIを連戦してきた精神的な疲労があると思う。
世代上位の実力はあると思うが、さすがに買いづらい。


メイショウウズシオ(飯田)
3分の1の抽選を掻い潜ってきた怖い怖いオペラハウス産駒。
堅実駆けタイプで、京都新聞杯の内容も悪くない。
堅実かつ抽選突破。クラシックでは得てしてこういう馬が大穴をあけたりするものだ。
飯田ジョッキーもダービー初騎乗。気合いが入っていることだろう。大穴候補。


8枠16番 シャイン(和田)
思い切って逃げるかもしれない。和田がハナを叩いたぁ〜!が思い出される(笑)
さすがにこのメンバー相手では厳しい。一桁着順あればいい方か…。


8枠17番 トゥザグローリー(戸崎圭)
こちらも超良血、トゥザヴィクトリーの仔がダービーに間に合った。
1走ごとに成長の跡が伺え、非常に充実しているが追い切りでイマイチ動かなかった。
本格化は秋以降…というより来年になるだろうが、この馬にとって将来的にもいい経験になると思う。
ひょっとしたらこの舞台でその大物の血が開花…なんてこともあるかもしれない。買わないけど。


8枠18番 ダノンシャンティ(安藤勝)
前走NHKマイルカップで樹立した驚愕の日本レコードホルダーは大外枠からのスタートとなった。
戦前からジョッキーがマイルの方が競馬をしやすいとコメントしているとおり、やはりこの距離が課題となる。
折り合いを欠く面も垣間見えるし、何より父がフジキセキ。最初の800mをいかに進めるかがカギになりそうだ。
驚異のレコードで駆けた反動を心配したが、追い切りを見る限りそれは大丈夫そうではある。
後方で脚を溜め、大外から全馬まとめて交わすだけの脚力はある。
マツクニ先生の「キンカメやギムレットとはまた別の次元にいる馬」という強気コメントも頷ける。
ここ一番でのアンカツジョッキーもやはり怖い。不安要素が多い割に人気するので切りたいのだが…。



…ってなところまで金曜の夜に書いてたんですが、今日の朝になってダノンシャンティ号の骨折が判明、出走取消となってしまった。
この距離でマイルの日本レコードホルダーがどんな走りをするか楽しみだっただけに、実に残念…。
アンカツが空いたんだし、ローズキングダムの按上アンカツさんにしてもらえませんかねぇ…(笑)


この騒動で2強+αが完全に2強対決になってしまった。
人気で切るならダノンだと思っていただけに、馬券的にもちょっと痛い出走取消だなぁ…こりゃガチガチ決着になるか…。


失意あふれるなか印へとまいりましょう。


第77代ダービー馬はペルーサだ。
とにかく青葉賞の走りが圧巻、次元の違いを感じさせられた。
馬体、フットワーク、気性、スケール、切れ味、持久力に勝負根性。どれをとっても一流馬のそれ。
按上ノリも心強い。四位でもダービー連覇出来たんだから、ノリなら余裕だろう。
皐月賞馬を倒して無敗のダービー馬誕生だ。


相手筆頭はもちろんヴィクトワールピサ
この馬も全ての要素が抜きんでている。ペルーサと遜色ないと言えば皐月賞馬に対して失礼か。
やはり2強決着に収まると思っている。

しかしこの2頭、一方はジョッキーがダービーの勝ち方を知っていて、もう一方は調教師がダービーの勝ち方を知っている。
なかなか面白い関係だ。


2強に重い印を打った以上、相手を極力絞らねばならない。
もし2頭に割って入るなら、スムーズに先行出来たときのアリゼオと、全能力を発揮出来たときのルーラーシップだと思っている。
あとヒルノダムール。普通に考えればダンツフレームになり得るのはこの馬か。でもこれだと配当が…。
穴党のせめてもの意地で大穴でメイショウウズシオ。
菊花賞でこそ買いたい馬だが、全く人気もないのでちょっとだけ先物買いしておく。
でも菊花賞皐月賞桜花賞ならともかく、ダービーで抽選くぐりぬけてきて馬券になった馬っていたっけ…(笑)


ペルーサ
ヴィクトワールピサ
アリゼオ
ルーラーシップ
ヒルノダムール
△メイショウウズシオ


未だダービーを獲っていない岩田ジョッキーに立ちはだかる3人のダービージョッキー
やはりダービージョッキーへの道のりは遠く、険しい。
うーん、ダノン@アンカツがいないのが本当に惜しまれる…。